4月から少し環境が変わるからか、ちょっとした合間に過去をふりかえることが増えています。
20代の頃を思い出すと、高すぎる目標を立てては、うまいことできず、途中で挫折することが多かったような。
早寝早起き、運動、日記、スケジュール管理、コミュニケーションなど。
理想通りに物事を進められないことが増えて、いつからか、
「完璧にできないなら最初からやらない」「ちょっとでも失敗したら、全部意味がない」
そんな風に考えてしまって、自分を追い込んでしまった時期もありました。
でも、ある時からこう考えるようになりました。
本当に大切なことは、壮大な計画や理想ではなく、「手に負える小さな課題にひとつずつ向き合うこと」だと。
最近の出来事を例にすると、約2年前にとあるプロジェクトに関わることになり、自分自身も張り切って取り組んでいました。
しかし、時間が経つにつれ、組織の方針やチームメンバーとの価値観の違いが浮き彫りになり、自分の理想とする在り方とのギャップに苦しむように……。
「これはどうなんだろう?」と胸にモヤがかかる出来事が増え、それに対してアクションを起こすも暖簾に腕押し状態で、だんだんと「この組織に自分がいても意味ないな」と自信をなくしていきました。
プロジェクト開始当初は、長期的に関わっていきたいと考えていたにも関わらず、次第に目の前の業務をこなすことも難しくなり、日々の大半を重苦しい気持ちで過ごすことが多くなりました。
あの頃を思い出すと「いつかきっと理解してくれる」「自分の考えを受け入れてくれるはず」と、根拠のない期待が高すぎたように思います。
結果として、わたしの思いは届いて欲しい人には伝わらず、孤立感が深まり、最終的には心身ともに疲弊して、1ヶ月半ほど全ての仕事を止めてしまうことになりました。
今思えば、あまりにも大きな理想をかかげ、周囲にも自分にも求めすぎていたのかもしれません。
しかも、その目標を達成するための具体的な方法も見えないままに。
大きな理想を掲げること自体は、決して悪いことではありません。それが大きな成長につながることもあると思います。
ところが、その理想があまりにも壮大すぎると、自分に対する信頼感が失せ、行動すること自体が難しくなってしまいます。
実際、休職した1ヶ月半のほとんどを寝て過ごしました。
次第に、床と並行になる時間を少しずつ減らせるようになってからは、
「今の自分にできることから始めよう」
「またここから、人生をはじめよう」と、自分を追い詰める考えを改めることからはじめました。
そして、日々の中で目の前に現れる大きな問題を「手に負える課題」に分解して捉え直すようにしました。
具体的には、2つの小さな取り組みです。
1つ目は、仕事の細分化。
これまでは「〇〇を達成する」といった大きな目標に対して、本質的に何から手をつければいいか分からなくなっていたものを、具体的な小さな行動に分解するようにしました。
復職後、タスク管理にNotionを使うようになり、少しずつ仕事も回るようになっていきました。
2つ目は、思考の整理。
以前は、考えがまとまらないままパソコンに向かい、振ってきたタスクに体当たりで作業を進めてしまうことも多かったのですが、パソコンを開く前にスケッチブックを使って、その日のタスクや優先順位、懸念事項などを書き出すようにしました。
これらの取り組みは、すぐに目に見える大きな成果につながるわけではありません。
けれども、ひとつひとつの仕事を達成していく中で、確実に「自分にもできる」という感覚を取り戻していきました。
目の前の課題を手に負える大きさに分解し「無理のない範囲でベストを尽くす」という働き方にシフトすることで、心身ともに疲弊してしまうことも減り、趣味や余暇の時間も楽しめるようになりました。
とはいえ、全てが解決したわけではありません。
約2年前に関わり始めたプロジェクトは、結局はわたしが根を上げて、組織を離れることになりました。
今思えばスッと決断してしまえば良かったのに「もしかしたら、こうかも」「本当は、ああかも」と、考えをこねくり回して必要以上に時間を使ってしまいました。
最終的には「今のわたしには、この組織は手に負えない」と捉え直すことで、執着に似た感情を手放すことができました。
もし今、仕事や人間関係で悩みを抱え、大きな壁にぶつかっていると感じている方がいたら、一度立ち止まってみてください。
もしかしたら、あまりにも大きな理想や目標を掲げてしまっているだけかもしれません。
本当に大切なのは、壮大な計画ではなく、問題を今の自分が手に負える大きさにまで捉え直すこと。
もしくは「今の自分には無理だ」と観念して、諦めることなのかもしれません。
過度な期待を捨てきれない自分を解放して「手に負える課題」と向き合い、気持ちにも時間にも余裕を持って、お互いに楽しい人生を歩んでいきましょう。