ジェノサイドという言葉の意味をこの本を読んで知りました。
高校生の時に本屋さんで見つけたこの本は、わたしの読書の幅をむりやり広げました。
無理やりだから、読むのにしんどい思いをしました。
ジェノサイドを買った時は、「とにかく分厚い本を読もう!」と意気込んでいた時期でした。
言葉の意味も知らず、内容もわからず購入し、読みはじめました。
そして具合を悪くしながら、吐き気を催しながら読みました。
ジェノサイドは国の違う2人の登場人物の運命、行動が交差し物語が展開します。
イラクで戦うアメリカ人傭兵と日本で薬学を専攻する大学院生。二人の運命が交錯する時、全世界を舞台にした大冒険の幕が開く。アメリカの情報機関が察知した人類絶滅の危機とは何か。一気読み必至の超弩級エンタメ!
私がなぜしんどい思いをしながら読むことになったかというと、虐殺や戦争の表現がわかりやすすぎて容易に頭のなかで映像化できてしまったからです。
それまでそういった小説は読んだことはなく、とても辛い思いをしました。
映画で戦争のシーンを見たことはありましたが、あくまで受け身の姿勢なので、じぶんがシャットアウトすればそれまでです。
映像に感情をのせずにすめば、揺さぶられることはありません。
でもこの本は、文章の表現がわかりやすすぎて抵抗することができませんでした。
あるシーンでは「今はこれ以上無理だ」と思い、1ページ読む間に何度も本を閉じました。
閉じて開いて、少しずつ咀嚼して、最後まで読み終わるのにとても体力を使いました。
読み終えた先でもう1つ。
作者の高野さんの謝辞の後に、主要参考文献が載っています。
これがなんと30本以上も紹介されていました。
人類の起源や、戦争、民俗関係の本など、さまざまです。
抗うことのできないわかりやすい文章は、数々の参考文献に裏付けされた表現だったようです。
完全な作り話しではなかったのだと少し恐ろしくなりました。
読み応えありすぎる小説です。