海の底/有川 浩「うるせえよ、そもそも子供が一時血迷ったのに付け込むような真似ができるか」

大人気の有川浩さん!
ご存知の方も多いかと思います。

 

有川浩さんは、名前を浩と書くので「男性の作家さんかな?」と思いがちですが、実際は女性の作家さんです。
読み方は「ありかわひろ」さんです。

有川作品は、今回紹介する海の底をはじめ、2、3冊読了しております。
映画化の際に話題になった『図書館戦争シリーズ』も挑戦しましたが、はまらず・・・。
1巻の途中までしか読んでいません。
今読んだらまた違うのかな。

「私には有川作品は合わないのかも」と心理的に遠ざけていました。

 

ある日、仲良してもらってた10歳ぐらい年上の花屋さんに薦めてもらって
伊坂幸太郎の『オーデュボンの祈り』を読みました。

オーデュボンは伊坂幸太郎のデビュー作です。
伏線があんなにきれいに回収されて最後に繋がる小説を読んだのははじめてで、衝撃的でした。
数日後、伊坂幸太郎のデビュー作があまりにもおもしろかったので
「他の有名作家のデビュー作も読んでみよう!」と思って本屋さんに行きました。
そこで有川浩さんのデビュー作『塩の街』を見つけて、背表紙の内容を見て
「今度はいけるかな?」と思って読み始めました。

 

図書館戦争シリーズははまりませんでしたが、『塩の街』は凄く楽しめて、
最後まで読み終わることができました。

塩の街は、海でリュックからあれが出されるシーンが大好きです!

 
次に読んだのが、『海の底』でした。
塩の街より、海の底の方が印象深いのは登場人物の女の子がすごく好きだからです。

四月。桜祭りでわく横須賀米軍基地を赤い巨大な甲殻類が襲った! 次々と人が食われる中、潜水艦へ逃げ込んだ自衛官と少年少女の運命は!? ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテインメント!

 

物語の舞台は、自衛隊の潜水艦の中で主人公たちは閉じ込められます。
閉鎖的空間で、少女は生理になってしまうんですが、
その対策のシーンがとても共感できました!

同じ女だから想像しやすいシーンでもありました!
自衛隊の潜水艦なので、食料品の備蓄はあっても生理用品などはなく、
ラップとかトイレットペーパーで工夫して乗り越えるんです。

 

でもこの本の1番おもしろいところは、自衛隊のある男性と、その少女の関係性というか、
関係が築かれる過程と、その未来です。
最後まで読むほどに、おもしろいです!
女性はきゅん。としちゃうんじゃないかなー。

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男性隊員の不器用さと誠実さ。
少女の健気さと、芯の強さが読んでいてすごく伝わってきます。

 

メインは恋愛小説ではないんですけどね。
大きいザリガニみたいな生物が襲ってきて、
男性隊員の大切な上司が亡くなったりもします。

 

後、デリカシーのない記者が少女に平手打ちされます。
そのシーンはスカッとします!

 

昨今のマスメディアに苛立ちを覚えている方は、そういう意味でもおもしろいかもしれません。

 

自衛隊が好きな人、巨大生物を好む方、恋愛物語を見たいあなた。
いろんな方の心に残る小説だと思います。