「ガチで取り組む空き家再生研修会〜地域×ビジネス×行政が空き家再生の手法を伝授〜」に参加しました!

佐多に移住し、空き家だった家で暮らしている

かざり(@kazali0617)です。

 

9/4に鹿児島市役所 西別館ロビーで開催されたガチで取り組む空き家再生研修会に参加しました!

全国共通の社会課題である、空き家問題。

6月に鹿児島市から佐多へ移住後、ほぼ毎日空き家を目にしています。

今にも壊れそうな傾いた家、片付けたら住めそうな家、皆さんが暮らしている近くにもさまざまな空き家が存在していると思います。

 

この日開催された空き家再生研修会は、空き家問題にガチで取り組んでいる3名が、行政、地域、ビジネスとそれぞれの視点から空き家再生の手法を伝授。

ビジネス視点では東京からカリアゲJAPAN 久保さんが。

 

3名の登壇者を中心に、参加者と共に議論する場になりました。

 

会場の雰囲気

18:00から開催されたガチで取り組む空き家再生研修会。

「空き家問題というと空き家を所有するオーナーさんが多いのかな?」と思いきや、会場には大学生、75才のおじいさん、彫刻家、行政の方々、不動産経営者など幅広い方々が。

指宿、さつま町、霧島、南大隅など、参加者の暮らすエリアもバラバラで、県内各地から100名以上が集まりました。

 

「空き家再生研修会」スタート!

【ファシリテーター紹介】
須部貴之
有限会社すべ産業 営業部長/騎射場のきさき市 代表

1978年生まれ。明海大学 不動産学部不動産学科卒業(千葉県浦安市)。在学中ケンブリジッジ大学(短期留学)で都市計画論を学ぶ。ディズニー、ユニクロを経て、三井不動産グループへ入社。東京、福岡で11年勤務。

2013年6月、17年ぶりに鹿児島へUターン。人口減少問題や地域コミュニティ衰退などの社会課題に危機感を感じ地域活動に興味を持つ。現在は家業の不動産業をしながら「騎射場のきさき市」という約1万人が参加する地域イベントを主宰し、人のつながり・絆をコンセプトに地域で学ぶカレッジ形式の人財育成型の実行委員会を構築中。2018年4月騎射場中央通り会、鹿児島大学酒井研究室、騎射場のきさき市による「ガチな地域連携に関する協定書」を締結。

引用:ガチで取り組む空き家再生研修会(地域×ビジネス×行政が空き家再生の手法を伝授)

 

司会・ファシリテーターのすべさんから、研修会の趣旨を会場全体に共有。

・鹿児島、全国の空き家を知る
・空き家再生の取り組みを知る
・協働関係の種を作る(仲間づくり)

 

そして、すべさんが活動拠点としている騎射場地区について。

アットホーム調べによると、騎射場には空き家が300室〜あるらしい。300室という数字は騎射場電停から半径500m以内のエリアのこと。

鹿児島市内全体だと、4,000室〜にも。

 

佐多で暮らしていると鹿児島市って都会だな〜と感じますが、けっこう空き家が多いんですね。

騎射場も鹿児島大学や県庁が近いこともあり賑やかなイメージでしたが、300室以上も空き家が。

空き家問題は社会課題である。がヒシヒシと伝わってきました。

 

参加者が期待することとは?

「反応3割増し、電話などはご自由に、時間配分は空気を読みつつ」とグランドルールを共有した後は

「近くの方と3人組のグループを作ってください」

 

研修会の趣旨の1つである仲間づくりのきっかけになるように会場の参加者同士で3人組のグループが作られました。

自己紹介と空き家再生研修会に期待することを話し、全体に共有です。

 

「今ある建物をどう保存し、活用していけばいいのか?」

「地域、ビジネス、行政などみんなで町づくりを考えるためにどう連携するか?」

「空洞化や空き店舗が目立つエリアで、何かやりたい!という若者はいるが中々家賃が下がらない」

 

それぞれが抱えている課題と会場全体でシェアすることで、研修会への期待感がグッと上がったように感じました。

 

会場全体の緊張がほぐれたところで、鹿児島市役所で勤務している森満さんの空き家再生について。

 

【行政視点】 鹿児島市役所 森満さん

森満 誠也 氏

1988年8月4日生。鹿児島大学工学部建築学科卒業後、鹿児島市役所に入庁。鹿児島市を一歩も出たことがありません。転機はリノベーションスクール@北九州の受講。

3泊4日に渡り、圧倒的な洗脳を受け、未だ解けない。リノベーションスクール後、空き家だった元実家のDIYリノベーションを決意し、仲間を巻き込んで実行。現在の自宅となる。また、鹿児島市名山町の空き家を13人の共同出資で借り、オーナーや地域住民、県内外の仲間を巻き込んで、DIYワークショップや朝café、野外映画祭等のイベントを行う。市役所内では『公民連携を推進しまくる会』を立ち上げ、民間事業者や学生と公務員が交わる場づくりに力を入れている。

引用:ガチで取り組む空き家再生研修会(地域×ビジネス×行政が空き家再生の手法を伝授)

 

 

行政の担当者が扱う空き家は、穴が空いて傾いて、いまにも壊れてしまうそうな物件がほとんど。

役所としては通行人や住民に危険が及ばないように、安全に整備することが重要とのこと。

 

仕事としての空き家問題との向き合い方と、一個人としての空き家再生方法について聞けたのがとてもよかった。

 

参加者からの「県内の他の地域でバカンスのような活動をする時、オーナーさんとどう繋がったらいいのか?」という質問には

「オーナーさんにとってコミュニケーションの仕方は変えたほうがいいかも。誰かに間に入ってもらうとか、丁寧に段階を踏んだり、思いを伝えたり」

「オーナーさんが安心できるような関係づくりって何だろう?と考えることも必要

 

公務員という肩書きが活かせる場面も多いらしく「理想としては公務員と地域がもっとゆるやかに繋がれたら」と話していました。

 

【地域視点】 NPO法人頴娃おこそ会 加藤さん

加藤 潤 氏

1968 年 6 月 7 日生。埼玉県出身。青山学院大学経営学部卒業後、モービル石油(株)、住友林業 (株)などに勤務し、多くの海外出張も経験。その後実弟が鹿児島で立ち上げたタツノオトシゴ養殖事業に携わるため 2010 年に南九州市頴娃町へ移住し、観光養殖場「タツノオトシゴハウス」を立ち上げた。

観光地では なかった頴娃においては、業種や組織、官民の枠を超えた地域総力戦のまちおこし活動が不可欠と考え、NPO を通じて農家や商店主など観光業者ではない地域メンバーを巻き込んだ地域活動を展開。これまで町外来訪者がまばらだった釜蓋神 社が年間 15 万人の来訪者を迎えるスポットに育つなど、観光を活かした地域づくりに貢献している。 昨今は、空き家再生、商店街 活性化、移住者受け入れなどまちづくり分野の活動にも力を入れている。

引用:ガチで取り組む空き家再生研修会(地域×ビジネス×行政が空き家再生の手法を伝授)

 

 

鹿児島県内で町づくりに関わっていたら必ず耳にする、頴娃。

わたし自身学生時代から何度も通っていますが、Wi-Fiが繋がったり、駐車場が整備されたりと行く度に進化しています。

 

「活動で得られた成果は?」という目に見えない価値が評価されやすい町づくりに置いて、難しい質問のように聞こえましたが

「地域おこし協力隊として来てくれた移住者が3年後も暮らし続けられるような、移住者を受け入れられる基盤ができてきた」とじゅんさん。

 

「とはいえ、移住者だけで盛り上がると町の人は冷めてしまう。移住者と町の人がいっしょに楽しめるような工夫は必要」とも話していました。

わいわい賑やかに、あえて手間をかけることも大事ですよね。

 

【ビジネス視点】カリアゲJAPAN 久保さん

久保 暁育(くぼ さとる) 氏

株式会社あきやカンパニー 代表取締役
1980年生まれ/東京都世田谷区出身/東京都調布市在住

大学卒業後、家具小売業に勤務。
その後タイ、台湾一人旅を経て沖縄に辿り着き、地域人脈を築く。帰京後、不動産仲介・買取会社、サブリース・管理会社を経て、2017年にカリアゲJAPANに参画。翌2018年2月より代表取締役就任。2017年12月よりカリアゲ全国ネットワーク拡大活動を展開し、2018年8月現在11拠点に拡大。全国各地の空き家オーナーのコンサルティングを行い、各地のパートナーと連携し空き家解決に取り組んでいる。

引用:ガチで取り組む空き家再生研修会(地域×ビジネス×行政が空き家再生の手法を伝授)

 

 

東京出身の久保さんですが、小学校と高校が閉校。

東京って人がいっぱいで閉校とは無縁だと思っていたので、驚きました。

人は増えていても子どもが減っているのが現状らしい。

 

新卒で3年勤めた会社を退職後、海外へ。そこで地域コミュニティや地域経済に触れます。

その頃交流があったゲストハウスオーナーとの会話をきっかけに地域経済の重要性に気づき、不動産仲介・買取会社へ。

(地獄のようだったらしい・・)

 

2017年からカリアゲJAPANに参画。

2018年の2月からカリアゲJAPANを運営する、株式会社 あきやカンパニーの代表取締役に就任しました。

 

空き家はなぜ増えるのか?

日本全国に存在している空き家ですが東京で調査した結果、意外と空き家の持ち主(オーナー)は金銭的には困っていないらしい。

それよりも「家族の思い出がある家はしばらくそのままにしておきたい」と心情面の問題の方が大きかった。

また、金利の安さや文化的な面で新築志向や持ち家志向がまだまだ強く、マイホームを建てる人も多いんだとか。

 

そして人口減少。一人っ子同士が夫婦になった場合、2軒の家が余る。

わたしも一人っ子。確かに今の彼と結婚したら実家が余ります。

いつかはコミュニティスペースとして使いたいけどそのいつかは不透明だし、将来どこで暮らしているかもわからないな〜。

 

さまざまな要因で全国で空き家が増えている現在。

カリアゲは独自の仕組みで空き家問題を解決へ導いています。

 

カリアゲとは?

カリアゲとは空室のままになっている築30年以上の物件を借り上げ改修した上で6年間サブリースし、オーナーに固定家賃を支払うサービスのこと。

簡単にいうと築30年以上の空き家を借主負担で改修し、借主が6年間運用する仕組み。

(サブリースとは、転貸を目的としたもの)

引用:カリアゲJAPAN – 全日本空き家流通化サービス

 

通常のサブリースはオーナーがリスクを取ることが多いけど、カリアゲの場合はオーナーのリスクが少ないことが特徴。

・費用負担ゼロ
・現状のままでOK
・固定家賃収入を得られる
・木造アパート、マンション、戸建てあらゆる建物に対応
・カリアゲ終了 7年め以降の使い方は自由

 

なぜ通常の仕組みと違うのかというと

カリアゲは収益化を目的とした仕組みではなく、マイナスをゼロに。ゼロを少しでもプラスにするような救済措置だから。

全国10か所に存在しているカリアゲパートナーと共に、全国の空き家問題と向き合っています。

九州では、熊本と福岡。沖縄も現在準備中。

 

各地の空き家再生の事例

現在全国でさまざまな空き家再生の事例が出てきています。

石川県のカリアゲ金沢ではそば屋×リノベーションショールーム×設計事務所と、自宅の相談ができるサロンの役割を果たすそば屋なんてのも生まれているらしい。

空き家を改修する上で大事なのは、リノベーションしてきれいにすることではなく、建物に役割を持たせること。

 

リノベーションしても住む人がいなかったら? せっかくの改修が無駄になってしまいますよね。

そこで次なる空き家の使い方として、改修コストを抑えて活用する 非居住型の使い方が重要になってくるらしい。

 

次なる空き家の使い方とは?

空き家を改修してから使い方を考えるのではなく、空き家を活用すると決めた段階で関係者を増やし、空き家の使い方を考え、オーナーまでも巻き込むのが次なる空き家の使い方です。

この方法だとさまざまなメリットが生まれます。

 

改修前に空き家に対するニーズをつかめるので的外れな改修にならず、誰かが使うための役割を持った建物を作ることができる。

そして活用の段階で関係者が増えることで「改修費を出すから、いっしょに使いたい!」と思い入れを持ったファンが先に着く。

すると空き家の改修費を広く募ることができ、費用削減に繋がります。

 

現在久保さんが暮らしている、東京都調布市では空き家をスナックする会 オンラインサロンというFacebookグループができあがっているそうです。

(研修会終了後、申請して仲間に入れてもらったところ200名以上参加していました・・!)

 

今後は「人循環型」が大事になってくる

ローカルに興味を持つ、都市部の人にはたらきかけ、拠点の1つとして空き家を使ってもらう取り組みが今度大事になっていきます。

ローカルに興味を持つ人は多い。でも仕事や暮らし、全てを捨てて移住するのは中々ハードルが高い。

そこで1人の人間がぐるぐると全国を移動するような、人口が減少していく社会で人が循環する仕組みが求められています。

 

カリアゲでは

「改修したはいいけど借りる人が見つからない」というリスクを避けるために借りる人に合わせて家賃を変える空き家マッチングを行っています。

 

「現状のままで借りたい」「水回りだけ交換したい」「完全にリノベーションが済んだ物件がいい」などの希望に合わせて家賃を変えるシステムです。

借りる人が決まってから工事するので、的外れな改修にならずにいいですよね。

自分でスキルがある人は、自分でリノベーションした方が安く済むこともあるだろうし。

 

カリアゲJAPANの役割

カリアゲJAPANは、商標登録済み。

空き家問題は人が関わるのでデリケートな場面も多い。ブランド力は大事です。

 

カリアゲJAPANは

「空き家コンサル・コーディネイト」「WEBメディア」「カリアゲ全国ネットワーク」とさまざまなアプローチで空き家問題と日々向き合っています。

 

今年の6/3には第一回カリアゲサミットを開催し、45名が参加。各パートナーとの関係構築を図りました。

 

「カリアゲチームはアイデアを出しながら日々楽しんでいます」

「ご興味ある方はぜひ一緒に」

カリアゲJAPAN 久保さんでした。

 

「やっぱり人。人ありきでコミュニティなど色々変わっていく」

1つの場所に停滞するのはいい面もあるけれど、新しいことが止まってしまうこともある。

多拠点暮らしをしている人を見ていると、バランス感覚がいいなと思うことが多い。

 

カリアゲJAPAN 久保さん。

初めて聞く内容だったけど、大事にしている部分や描く未来は鹿児島で活動している方々と近いような気がしました。

「カリアゲ鹿児島、立ち上がらないかな〜!」とiPhoneを握る手に汗が滲みました。

 

空き家再生研修会 無事終了!

 

行政、地域、ビジネスと3視点で空き家再生について、充実の2時間半でした。

 

3名それぞれが実際の経験をもとにお話されているので

「や〜うちの地域では無理だよ」

「いや、でも実際にやっている人がいるからできるかも!」と勇気づけられた参加者も多かったと思います。

 

100名以上の参加者が、それぞれの暮らしの中で。

少しずついい方向に進めたらいいのかなと感じました。

 

さいごに

鹿児島市から本土最南端の佐多へ移住すると決まった時、はじめは町営住宅(アパート)で暮らすつもりでした。

しかし「せっかくローカルに移住するなら一軒家がいいよね」と彼が空き家バンクで見つけてくれたのが今の家です。

 

空き家問題を解決したいと言っても、何を持って解決とするかは人それぞれだし、複雑で難しい課題が山盛りです。

だけど自分と相性のいい、住みやすい、使いやすい空き家が見つかった時、そこを有効活用できた時ってけっこう嬉しいんですよね。

 

都市部のきれいなマンションももちろんいい。玄関のカギを閉めればひとまず安心だし、掃除機だってかけやすい。

でも自分で暮らしを作るということがこんなに楽しいとは思わなかった。

これは空き家を見つけて、暮らしを作った経験があるから気づいたこと。

少しずつそれぞれが抱える空き家問題が楽しく解決に向かえばいいなと思いました。

 

空き家に関する課題解決のヒントばかりだった2時間半を残しておきたくて

以上、ガチで取り組む空き家再生研修会参加レポートでした!

 

ごあんない

カリアゲJAPAN – 全日本空き家流通化サービス