定置網でマグロを見れるとは…
かざり(@kazali0617)です。
「佐多について、自分なりに目一杯書いた上で引っ越すぞ」ということで、個性あふれるカカシ達の次は
佐多 伊座敷漁港での定置網漁について。
実際に体験したのは2018年8月なので、随分時間が経ってしまったけれど、撮った写真と当時メモしたノートを元に書いていきます。
漁どころか釣りもしたことないド素人ですが、初めての定置網漁は楽しかった。
佐多の海の魚種の豊富さに驚愕で
「一度の漁でこんなに撮れるものなの?」と、彼と共に非日常の連続でした!
早朝3:30に起床し、4:00に港集合。
4:30港出発からの、7:00解散。
約3時間半の記録を、写真たっぷりでお送りします〜!
定置網漁の船に乗ったきっかけ
去年(2018年)の夏に佐多でお祭りがあり、遊びに行きました。
焼きそばにご飯、ソーセージなど、ほとんどの食べ物が無料という、食べ物天国に衝撃を受けつつ、ありがたくお腹いっぱいに。
普段は原っぱになっている広場に設置された舞台では、かき氷の早食い大会や高校生のダンス披露などが行われました。
祭りの最後には、花火が打ち上がり
「これが佐多の夏か〜」としみじみしたのを覚えています。
そんな祭りの席で、今暮らしている家を紹介してくれた町のおじさんから
「明日定置網の船がでるけど、乗るかい?」という提案が。
当時のわたしは
「今年の夏は、佐多で思いっきり楽しみたい!」と考えていたので、大興奮。
「釣りもしたことないのに、いきなり定置網かよ」と未知の世界にドキドキしながらも、明日を楽しみに眠りにつきました。
佐多の定置網漁 体験レポート
定置網漁 体験スケジュール
こんな流れで、初めての定置網漁を体験しました!
4:00 港集合
4:30 乗船、漁へ出発
4:35 1か所目 漁開始
5:15 漁終了 次の漁場へ
5:26 2か所目 漁開始
6:05 漁終了 港へ戻る
6:30 港到着、魚の仕分けや計量
7:00 終了、解散
集合〜乗船まで
数時間寝て、翌朝3:30に起床。4:00ごろ港へ。
真夏とはいえ空はまだ真っ暗。定置網漁の朝は早い。
漁師さん達に挨拶をし、ライフジェケットを貸してもらい着用。長靴は自宅から履いていきました。
海の上で何かあったらまずいので、荷物は最小限で。写真を撮るために、携帯だけポケットに入れて行きました。
軽く説明を受け、乗船。いよいよ出発です。
出発〜1か所目の漁場へ
4:30ごろに港を出発し、10名ほどの漁師さん達と共に1か所目の漁場へ。
遠く沖の方へ出るかと思いきや、5分ほどで漁場に到着。案外近かった。
初めての定置網漁で不安でしたが、船から陸が見えていたので安心しました。
漁師さん達が手際よく漁の準備を始める中、わたし達は邪魔にならないスペースで見学。
定置網を囲うように複数の船が連携して、網を縮めながら魚を集めていきます。
船の明かりを頼りに少しずつ網を手繰ると、だんだん魚影が見えてきました。
時々網の外に逃げようと飛び回るトビウオの羽が、暗い海の中でキラッと光って、すごくきれいでした。
40分くらいかけて網を縮め、獲れた魚たちは一旦カゴへ。
魚種なのか大きさなのか。
何を基準にカゴで仕分けられているかはわからなかったけど、他の魚はそのまま魚倉へ入れられているのに、1人の漁師さんは魚の首を折ってから入れていました。
船を降りてから気づきましたが、あれは首折れサバ。鮮度を保つために、獲れてすぐの船上で首を折るそうです。
首折れサバという名前は知っていたし、食べたこともあると思うけど
「そっか。首が折れているサバだから、首折れサバなのか」と極めて当然のことを、サバの首が折られるのを目の前で見るまで考えつかなかった。
知らなくてもおいしく食べられるけど、知ることで自分の中の食体験が豊かになる気がしました。
自分の無知さって、生で本物を見た時に露呈する。体験って貴重だな、と改めて。
4:30に港を出発し、1か所目の漁が終わったのが5:15ごろ。
続いて、2か所目の漁場へ向かいます。
2か所目の漁場へ
1か所目の漁場を後にし、10分ほどで2か所目の漁場に到着。
朝日が昇り、大分明るくなりました。
1か所目の漁場ではわからなかった漁師さんの動きが、よく見えておもしろい。
暗闇ではよくわからなかった魚たちの姿も鮮明です。
1か所目同様に漁師さん達は、連携して網を縮めていきます。網をあげる人、獲れた魚を仕分ける人、魚倉に入れる人、網をコントロールする人。
大きな掛け声はなく、それぞれが自分の持ち場で淡々と動いていました。
1か所目はわりと小ぶりな魚が多かった気がしますが、2か所目ではなんとマグロがかかりました。しかも3匹。
マグロ自体は何度も食べたことがあるけれど、海で泳いでいるのを見たのは初めて。ビビットな黄色がすごく鮮やかでした。
漁師さんが船の上で全身を使ってマグロを捌く姿は大迫力で、あまりの非日常に見入りました。
マグロから湧きでる血と、漁師さんの力強さに圧倒された。
その他にはトビウオやエイ、イカやシイラ、名前がわからない魚まで含めると、本当にたくさんの魚たちを見ることができました。
錦江湾の下の方に位置する佐多の海の、魚種の豊富さに驚き。
5:30ごろから始まった2か所目の漁場も、40分ほどで終了。
獲れたてのたくさんの魚たちと共に、港へ戻ります。
港へ戻り、魚を仕分ける
6:30ごろ船が戻り
「終わった〜!おもろかった〜!」と力が抜けたのも束の間、港では魚の仕分けや計量が始まりました。
船を沿岸につけ、巨大な網を使って魚を船から引き上げます。
大型トラックが停まり、フォークリフトも登場。次々に魚が運ばれていきます。
一緒に船に乗った漁師さんの中に、佐多で時海(ときみ)というご飯屋さんを営んでいる方がいました。
時海では店主自らが漁にでて魚を仕入れ、その魚をお店で調理して提供しているとのこと。
佐多でお魚を楽しみたい時は、ぜひ。予約必須です。
仕分けの魚が減ってきて
「そろそろ終わりかな…」と思ったら、最後にマグロが引き上げられました。クレーン車のような機械で吊るされたマグロ、すごかった。
こうやって誰かが獲ってくれるから、食べられるんだよなあ。
30分ほどで仕分けや計量も終了。
あんなに賑やかだった港が、再び静けさを取り戻しました。
おすそわけをいただいた
前日のお祭り会場で
「クーラーボックスを持っておいでね」と言われたので持参したところ、ボックスからはみでるほどのお魚をもらいました。
全て採れたて新鮮。ピッカピカのお魚たちです。
彼に調理してもらい、塩焼きとタタキ風でおいしくいただきました。
塩だけで十分おいしい。佐多の豊かさを味わいました。
初めて定置網漁を体験してみて
去年の夏の記憶を手繰り寄せながら書いた、今回の定置網漁 体験レポート。
ふりかえってみて、改めて貴重な体験だったなあ、と。
当時は佐多に移住して2か月ぐらいで、まだまだ右も左もわからない不安定な状態で。
そんな中でも「これからどうやってここでの暮らしを作っていこう」というワクワク感みたいなものはあって、とはいえ何からやったらいいのかわからなくて。
そんな時に「まあ、夏だし。泳ぐか」と、佐多の我が家から徒歩30秒の海で遊ぶようになって、その時期にお祭りが開催されて、定置網漁に乗る機会をもらって。
正直佐多で暮らしていなかったら、一生乗らなかったかもしれない定置網漁の船。
移住したからこその体験だし、すごく尊い時間だったな〜と。
漁師のおっちゃん達の中には「この子ら誰やねん」と思った人もいるだろうけど、何も言わずライフジャケットを貸してくれて、船に乗せてくれて。
最後にはお魚までくれました。海の男たちは偉大です。
船上で定置網から逃げようと飛び回る、トビウオの羽のきれいさに目を奪われた時に
「この体験には、お金を払う価値がある」と思いました。
佐多の観光、漁業体験として売りだしていいんじゃないかと。
1人 2,000〜3,000円ぐらいで
(わたしはそれぐらいの価値があると思った)
港集合の、港解散
(駐車場はある)
クーラーボックス持参で魚のお土産付き
(氷はもらえる)
船内でのエリア上、1グループ5人以内。
漁師さんの中に佐多でご飯屋さんをやっている人がいるから、そこでのランチをつけると
+1,000〜2,000円で1人 5,000円くらいの参加費で…ってとこまで考えて
「その売り上げって誰に落ちる?」
「誰に声をかけて始めたらいい?」
「7:00に漁が終わってランチまでの時間を、お客さんはどこで過ごしたらいい?」
「値段の付け方は妥当か?」
「佐多の漁師さん達はそれを望んでるか?」
「何か問題が起こったら?責任は誰が取る?」
「保険はどうする?」
「そもそもわたしがそれをやりたいか?」
と更にグルグルと考え、結局行動することなく、佐多を離れようとしています。
町づくりや地域おこしという言葉をよく耳にするけど、一からやるってとても大変、としんどさの方に目がいってしまい何もできませんでした。
強いてできたのは、こうしてネットに自分の体験を言葉として残し、発信することだけ。
地域連携なんて夢物語のように遠くて、わたし個人としての情熱も大変薄かったと思います。
暮らしは楽しかった
しかしそんな中でも、暮らし自体は本当に楽しくて。
定置網漁を始め、これまでの生活になかった非日常な体験と、風景の数々。
見慣れないものを記録に残すことがまずおもろかったし、性に合ってた。
でも結局はこの町を離れる決意をして。新しい世界へのワクワクが勝っていて。
移住者って気楽で無責任だな〜と思います。
責任を持ちたいと思えるほどの関係を築くには、もちろん時間がかかるし、タイミングもある。
だから自分自身のことをある意味「仕方ない」と割り切っていて、でもこうやって佐多での暮らしをふりかえる記事を書くと、どうしようもない悲しさみたいな感情が湧きあがってきます。
あえて例えるならば、失恋した後のような焦燥感に近いかも。
町と移住者の関係をお見合いと表すことがあるけれど、わたしの場合はうまくいかなかったパターンです。
お互い別の人と幸せになりましょう。お元気で。
機会があればまたどこかで、です。
さいごに
後半ちょっとしんみりしちゃいましたが、以上、佐多での定置網漁 体験レポートでした。
佐多に関するネタはまだもう少しあるので、そちらもお楽しみに!
この記事が少しでも、佐多という町への恩返しになればいいなと思います。
とかいって自己満足。まあそれもいいか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます〜!
眠れずに夜な夜なブログを書いていたら窓の外から鳴き声が。おはようやで。 pic.twitter.com/LZFp32AB3h
— かざり (@kazali0617) 2019年5月14日