「君、いくつ?」
え?誰?
「きこえてないの?いくつ?」
は?こわっ
「何歳なの?ってきいてるんだけど」
「24ですけど・・」
変な人にからまれたぞ
さっき、ほんとうにさっき。
1時間もたってないぐらい、さっき。
2年も付き合った彼女にふられた。
別れは急だった。
「他に好きな人ができたの。
だから、あなたとはもう付き合えない」
信じられなかった。
そんな素振りなかったじゃない。
ドルフィンポートのドトールで
2時間ぐらい話し合ったけど
だめだった。
彼女の決意は桜島よりも高く
錦江湾よりも深かった。
納得はできないけど
このまま彼女を引き留めても
意味はないだろう。
一度決めたことは
何があっても変えない。
彼女はそういう人だ。
彼女のそういうところが
僕はすきだった。
「今までありがとう」
悲しいままだったけど
彼女が席を立つときに
それだけは伝えた。
「こちらこそありがとう」と
彼女は答えた。
クリスマスプレゼントは
化粧品がいいかな。
とか
ご飯はどこで食べようかな。
とか考えてたのに。
ただただ、悲しかった。
彼女が席を立って1時間後に
僕もドトールを出た。
イルミネーションに群がるカップルを
見ないように下を向いて
天文館を目指した。
こんな日にまっすぐ家に帰れるか
クリスマスのために貯めたお金で
浴びるほど酒を吞んでやる
途中のファミマでお金をおろし
なるべく無心で歩いた。
それでも頬が少し濡れた。
なるべく彼女の気配がしない店にしよう
と思ってチェーンの居酒屋に入った。
彼女は居酒屋が嫌いだったから。
さわがしいし、タバコの煙が嫌と言ってた。
カウンターに座ってビールを頼んだ。
心は悲しいままだった。
そして、話しかけられた。
「きみ、いくつ?」と。
(つづく)
つづき【2話め】はこちらから。
ごあんない
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